研究機関からのお知らせ

本研究実施に係る情報を随時掲載しております

本研究は、学校法人北里研究所北里大学と慶應義塾大学及びソフトバンクによる共同研究として、スマートフォンとAI(人工知能)の活用による高齢者のフレイル予防に向けた実証実験を行い、実証結果に基づいてフレイルリスクを自動判定できるアルゴリズムの開発を目指すものです。

実証実験では本アプリを用いて研究参加者の日常の運動データと、アンケートを実施して回答を収集します。

フレイルは、加齢により心身が老い衰えた状態ですが、日々の活動や定期的な運動による身体機能の維持などを行うことで予防できるとされています。一方で、高齢者がフレイルを認知する機会が少ないことや、フレイルを判定するデータが測定時点の限られた情報であること、予防や改善のための機会が限られていることなどから、フレイルが進行していても認知できず、改善に向けた対応が遅れたり、不可逆的な状況に陥ってしまったりしていることが危惧されています。また、医療分野でも患者層の高齢化により、さまざまな病気とフレイルを合併して発症する患者が極めて多く、フレイルが治療や回復に大きな影響を与えていることが研究で明らかになっていますが、フレイルの評価が日常臨床には十分浸透していないことや、フレイルの評価に十分な時間を割くことができないのが現状です。

そこで、フレイルに関連する因子を連続的にセンシングできる身近な手段として、スマホを活用したフレイルリスクの自動判定および改善傾向の可視化を実現することを目指して歩行速度や歩行の安定性、身体活動量に加え、社会的なフレイルに関する情報などをスマホから自動的かつ連続的に取得し、AIを活用して、フレイルの有無やフレイルリスクのレベルを自動で判定できるアルゴリズムの開発を行います。

アルゴリズムが完成した暁には、スマホを持ち歩くだけで自身のフレイル状態が可視化され、将来のフレイルリスクを認知できるようになることで、医師の適切な助言・指導等フレイル予防への早期介入につなげることが期待できます。

本アプリは、Apple社の「ヘルスケア」及びGoogle社の「GoogleFit」を利用してデータを収集します。iPhoneには加速度センサーなどの高機能センサーが搭載されており、歩行速度等の運動データのセンシング性能に優れています。標準搭載されているヘルスケアと連携することで、精度の高い歩行データのセンシングが期待できます。また、高齢者層におけるスマートフォンの所有率はAndroidが多いことから、本アプリがフレイル予防といった高齢者層を主要ターゲットとしていることを鑑み、Androidユーザーに広く普及しており馴染みの深いGoogleFitのデータも研究対象としています。

ヘルスケア及びGoogleFitによりセンシングされた運動データは、本アプリが定期的に研究用のサーバへ送信します。ユーザーは、サーバに蓄積されたデータを本アプリで閲覧でき、また、自身の一週間の歩行結果通知を受け取ることができます。ただし、提供された情報やアドバイスが、ご自身に適合するか否かのご判断は、利用者ご自身の責任においてご判断ください。

 

本アプリを通じてGoogleFitで収集した運動データ、また、本アプリを通じて実施するアンケートの回答データは、フレイルを判定するためのアルゴリズムなどの研究に利用します。

収集されたデータは、個人が特定できない形で保存されます。機密保持に万全を尽くし、外部に漏れないように取り扱います。詳細はプライバシーポリシーをご確認ください。

 

本研究は学校法人北里研究所北里大学医学部・病院 倫理審査委員会で承認された臨床研究です。